先程まで「外」に出て戦っていた私達。 私はミスを犯してしまい隊長に助けてもらった。 (お礼を言わないと) そう思い口を開くが緊張しているのだろうか。言葉が出てこない。


「・・・どうした?」
「あ、え、何でも、ないです。」


私の反応に隊長は不思議な顔をする。
慌てて元の自分を引っ込めいつもの自分をだした。
この想いには気付きたくなかったのに。気付いてしまった自分がとても愚かだ。


「イザーク!」
「ディアッカ。」


暫しの沈黙を破ったのは私でも隊長でもない、先輩のディアッカだった。 急のことなのか息を切らしている。


「・・・わかった。」


先輩が耳打ちで彼に何かを伝えると顔つきが変わった。 いつもの彼、否、隊長に戻った。 (あぁ、やっぱり。) この想いには気付いてはいけなかった。 気付いたとしても自分がつらくなるだけなんだ。 わかっていたのに一瞬自惚れてしまった自分を恥じる。


「、シホ。」
「何でしょうか?」
「いや・・・何でもない。」


出て行く瞬間、隊長が私に声をかけてきた。 それをいつもの自分で対応する。 扉が閉まる音が妙に耳に、脳内に響きわたった。 こんなにもつらいものなんて。私はただ、

彼を好きになってしまっただけなのに。


「隊長。」


頬から涙が伝っているのがわかる。 この涙が止まると同時にこの胸の中にある想いはないものにしよう。 気付いていない振りをしよう。 元の自分を隠していつもの自分でいよう。 だから今だけ。 今だけでいいから。 「彼」を想う気持ちの涙を流させて。


「・・・好き、です・・・。」




想いよ、届け 貴方に



2005.11.19 
2006.11.18 文章付け加え+タイトル変更