都会の光の中で私は何を学べばいいのだろう。歩き疲れて公園のベンチで一人寂しく呆けていたら柄の悪い人に絡まれた。
面倒くさいからついて行こうかなと思ってO.Kの言葉を言おうと口を開いた途端腕を後ろに引っ張られたので振り返る。「仁王くん。」
仁王くんの目から怒りを感じ取った柄の悪い人は素早く走って逃げて行った。暫しの沈黙。空気が重い。ピリピリしていて、まる
で+極と−極が反発しているみたいだ。掴まれている腕をじっと見つめていると上から低い、声がのしかかる。
「何してた。」
「・・・・・別に、ただぼーっとしてた。」
「こんな時間に?」
「、アナタに関係ない。」
ああ言えばこう言って。こう言えばああ言って。言葉のキャッチボールが出来ていない会話。冷たい風が私と彼の間を通り過ぎていく。
夜の公園は不気味だ。真っ暗で、ただ外灯の光しかない。だから所々が光っていて、外灯がない場所は暗い。この光を浴びて、私は
何を学べばいいのだろうか。
「・・・・・帰ろ。」
ぐい、と私の手を掴んだまま彼は前へと進んでいく。何も言わない。私が何をしようが、何をしでかそうが、他人だから。他人だから何も
言わない。でも本当は、彼は言いたいことがたくさんあるはずだ。だって私は彼の友達の彼女だから。なのにこんな格好して、メイクして
色々な男を誘惑して遊んでいる。汚い。何も言わない方が私にとって酷なことを彼は気付いているから何も言わない。
「・・・・・っ」
外灯が増えてきた道に入った時、私の目から涙が滲み出た。罪悪感。それしか思い当たる言葉がない。すると仁王くんが掴んでいた手の
力を強くしてきた風に感じたのは私の勘違いなのだろうか。自惚れなのだろうか。そう思うと、さらに涙が増えて嗚咽が込み上げてくる。夜
風が涙を優しく撫で上げ露出している部分を一層、冷たくした。
What a heartless
woman she is!
(何て罪な女なんでしょう!)
2006.5.21
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